糖尿病患者と炭水化物

糖尿病の治療法の中に食事療法があるのは皆様ご存じのとおりです。

糖尿病の食事療法の方法を簡単に説明すると「標準体重を維持するためのカロリーを割り出し、それを栄養バランス良く1日3回均等に分けて摂取する」というものです。

何故3回均等に摂取するのかと言えば、1食抜くと、その分、どこかで多く食べる事になります。

それではいけません。

さらに摂取カロリーだけが合っていても、栄養のバランスが悪ければそれも身体にとって悪い結果になります。

もちろん、その「栄養バランス」の中には「ビタミンやミネラル」などとともに炭水化物も入っています。

しかし、中には糖尿病の患者さんは主食である炭水化物を抜いた方がいいという説もあります。

それは本当なのでしょうか?

日本において食物交換表を使っての糖尿病の食事療法が始まったのは、1960年代の事でした。

そしてそれは、低脂肪でかつ高炭水化物の食事が中心のものでした。現在でもその考え方に基づいて糖尿病の食事療法を進めているところが多いのが現状です。

ところが、1990年代に入ると、高炭水化物食による血清脂質に与える悪影響が注目され始めたのです。

具体的には、高脂肪・低炭水化物食が血清中の善玉コレステロールを増やして血清中の中性脂肪を減らす事によって、

インスリンの感受性を高めるといった説が提唱されたためです。

(これは余談ですが、一時期流行った炭水化物ダイエットもこの考え方に基づいて行っているダイエット法です)

糖尿病の食事療法と言えば、どうしても糖質と脂質の量を減らす事だけを考えがちですが、それだけでは不十分だという説もあります。

摂取した脂質の量とそのタイプによってインスリンの感受性に影響を与える事は知られていたのですが、それは炭水化物にも言える事だという事がわかって来たのです。

たとえば炭水化物の一種である食物繊維は食後に血糖値を高くするのを防ぐだけではなく中性脂肪が増えるのも抑える事によって、心臓の負担を減らしているというのです。

つまり、単純に炭水化物を摂取するだけではなく、

その種類と体内に入った時の働きまで計算に入れて糖尿病の食事療法をした方がいいというところまで現在ではわかって来たと言えるでしょう。

それでは、主食である炭水化物を抜くという食事療法は糖尿病の患者さんのためにいいのでしょうか?

あくまでもこれは筆者の考えですが、「糖尿病の進行具合とやり方による」と思われます。

糖尿病の治療のために主食である炭水化物を抜いた方が良いと考えている方々も、「1日にしておよそ120gの炭水化物を摂取する」と言っています。

それに加えて、主食である炭水化物を抜くのは朝食と夕食の2食で、昼食は主食を取るという方法をとっています。

それはヒトの血糖値は午前中に最大になり、午後になると最小になるため、その血糖値が最小になるタイミングで炭水化物を摂取するのだというのです。

つまり、「主食である炭水化物を抜いた方が良い」と考えている人も「全く炭水化物を摂取しないのも問題がある」と考えているという事に他なりません。

あまりにも高血糖状態が続いていて、今までの食事療法で改善が見られないのであれば、上記の方法を実践してみるのも一つの方法でしょう。しかし、

食事療法+運動療法で改善が見られる糖尿病の患者さんまでもがここまでしなくても良いのではないかと筆者は考えます。

ようするに、程度問題です。何事もやり過ぎは良くありません。

どうしても低炭水化物療法をお試しになりたい方は主治医とご相談の上、そのご指導のもとでおやり下さい。

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