糖尿病患者と納豆

糖尿病とは血液中のブドウ糖の濃度(=血糖値)が高くなる事によって身体に不都合な症状が現われる病気です。

よく「糖尿病とは尿に糖分(ブドウ糖)が混じる病気」だと誤解されますが、そうではありません。

確かに糖尿病の中に尿にブドウ糖が混じるという症状はありますが、それは血液中のブドウ糖の濃度がかなり高くなった時で、

血液中のブドウ糖の濃度によっては尿にブドウ糖が混じらない場合もあると言いますので、「尿にブドウ糖が混じっていないから自分は糖尿病ではない」というのは誤りです。

その糖尿病の治療法には食事に気を付ける、いわゆる「食事療法」があるのは皆様ご存じのとおりです。

「糖尿病の食事療法」と言うとものものしいですが、簡単に言えば「標準体重を維持出来るだけのカロリーを1日に3回に均等に分けて規則正しく摂取する」というものです。

「標準体重を維持出来るだけのカロリーを1日に3回に均等に分けて規則正しく摂取する」と言っても、摂取する栄養素に偏りがあってはいけません。

そう言われると、何を食べて良いものか、悩む事もあるかと思われます。

糖尿病になっていない人にとっては健康に良いと思われている食品でも、糖尿病の患者さんにとっては良くないものもあるのではないかと考えてしまうと、日々の献立を考えるだけで憂鬱になりそうです。

その中でも「納豆は糖尿病の人は食べても良いのか?」というお悩みをお持ちの方が案外多いように筆者には思えます。

納豆とは健康に良いとされている食品の代表格と言っても過言ではないかと思われます。

実際、納豆には動脈硬化の予防や高血圧の改善に効果があるとされていますので、「健康に良い食べ物」であると言ってもいいのではないでしょうか。

しかし、中には糖尿病の患者さんは納豆を食べない方が良いという情報もあります。

それでは、糖尿病の患者さんは納豆を食べてはいけないのでしょうか?

結論からお話すると、「糖尿病の患者さんの中で納豆を食べてはいけない方はワルファリンという薬を飲んでいらっしゃる方だけです」となります。

ワルファリンとは商品名をワーファリン・ワーリン・アレファリン・ワレファリンKなどと言い、いわゆる「血液凝固阻止薬(抗凝血薬)」に当たり、血管内に血液が固まりやすいにくくする作用があり、

血管内に血栓が出来るのを防ぎ、心筋梗塞などの血栓が出来る事によって起こる病気の治療や予防として使われる薬です。

糖尿病の合併症の中に細小血管障害・動脈硬化症があります。

糖尿病の3大合併症とは糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害を差しますが、これらの合併症の全てが細小血管障害によって起こる疾病なのです。

そして、動脈硬化になると血管内に血栓が出来やすくなり、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。

また、閉塞性動脈硬化症(糖尿病壊疽)になると、最悪の場合には下肢を切断する事態にもなりかねません。

これらは糖尿病の合併症についてのお話ですが、糖尿病になると動脈硬化の進行が早まると言われています。

そしてそれは、まだ糖尿病とは呼べない、いわゆる「糖尿病予備軍」と呼ばれる状態から、動脈硬化の進行を早めてしまっていると言うのです。

そのため、糖尿病の患者さんの中には動脈硬化の進行を食い止め、心筋梗塞や脳梗塞の発作を起こさないように予防するための薬が処方される事があります。

その中の一つがワルファリンというわけです。

そして、このワルファリンとはビタミンKの多い食品を摂取するとその効果が薄くなります。

そして、納豆にはビタミンKが豊富に含まれているため、ワルファリンを飲んでいらっしゃる方は納豆を食べてはいけないのだという事なのです。

つまり、「糖尿病になっているから納豆を食べてはいけない」のではなくて、「糖尿病の患者さんは動脈硬化が進行しやすい状態にあり、

その中でも心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすい状態と考えられる方に処方されるワルファリンという薬の作用を弱めてしまうために、

ワルファリンを飲んでいる方は納豆を食べてはいけないのだ」という事になります。

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