前立腺がん ロボット手術

前立腺がんの『ダヴィンチ』によるロボット手術とは

現在の日本において、前立腺がんの手術(外科療法)と言えば、前立腺と精嚢腺を摘出したあとに膀胱と尿道を縫い合わせ、状況によってはリンパ管へのがん転移の有無を調べるためにリンパ節郭清をするという、「前立腺摘出術」という手術法が一般的でしょう。

しかし、アメリカにおいては前立腺がんの手術と言えばロボット手術が主流だという事をご存じでしょうか?

前立腺がんのロボット手術を行うのは「ダヴィンチ」というロボットを使っての手術の事で、「ダヴィンチ」とは、元はアメリカ本国から遠隔操作によって戦場で負傷した兵士を治療するために開発されたロボットだったと言われているとの事です。

「ダヴィンチ」の構造は、メスなどの手術を行うための器具を取り付けるための4本のロボットアームとコンソールボックスと呼ばれる、「ダヴィンチ」を操作をするためのボックスの2種類の機械から出来ています。

電気メスや内視鏡をロボットアームに取り付けて、患者さんの腹部に開けた穴からそれを挿入し、医師がその映像をコンソールボックスで見ながら前立腺の全摘手術をします。

ロボットを使うという事で心配なのがその動きが制限されるのではないかという事ですが、「ダヴィンチ」は動きがとてもなめらかなので、その心配は不要です。

むしろ、神経を温存するという点について言えば、人間が手術するよりも「ダヴィンチ」による手術の方がやりやすいと言います。そのため、尿失禁や勃起障害などの合併症も少なくなるという患者さんにとって大きなメリットとなります。

また、全摘手術のあとには尿道と膀胱を縫い合わせますが、それも人間の手で縫い合わせるよりも「ダヴィンチ」を使った方がやりやすいと言います。

さらに「ダヴィンチ」を使う事の大きなメリットは、人間の限界を超える事にあります。

人間が開腹手術をする場合には基本的に人間の目で見ながら手術をするために、見える部分に限界があります。

しかし、「ダヴィンチ」を使う事によって、その限界を超える事が可能になります。

具体的には人間の目では見る事が出来なかった前立腺の狭い部分を拡大して見る事が出来るようになるとか、前立腺の裏側を見る事が出来るようになるというわけです。

日本でも「ダヴィンチ」によるロボット手術は2009年に承認されました。しかし、「ダヴィンチ」によるロボット手術には保険が適用されませんでした。つまり、「ダヴィンチ」を使った前立腺がんの治療は全額患者さんの負担だったのです。これは「ダヴィンチ」によるロボット手術の大きなデメリットでもありました。

その負担額はおよそ100万円以上との事で、前立腺がんの患者さんにとってかなり重い負担になっていた事は間違いありません。

それが今年(2012年)の3月に、「2012年の4月から「ダヴィンチ」による前立腺がんの治療が保険の対象になる」と報道されました。

これによって、前立腺がんの全摘手術を受ける患者さんにとって、負担が軽くなる事は間違いありません。しかし、今回保険の対象になるのは「ダヴィンチ」による「前立腺がん」の手術のみで、胃がんなどの「ダヴィンチ」によるロボット手術は保険の適用外です。

今回前立腺がんの患者さんにとっては朗報でしたが、胃がんなどの患者さんの間には「同じロボット手術なのに、前立腺がんの患者だけが保険の対象になるとは不公平だ」という不満が出て来るのではないかと筆者は心配しています。

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