前立腺がん 手術方法

前立腺がんの手術方法とは

前立腺がんとは前立腺という、主に前立腺液を分泌する役目を担う臓器に出来る悪性の腫瘍です。

その前立腺がんの完治を目的とし、最も前立腺がんの生存率をアップさせる効果が期待出来る手術方法と言えば、「前立腺摘出術」という手術方法です。

前立腺摘出術とは、がんの原発巣である前立腺とともに前立腺の後ろに位置する精嚢腺も一緒に摘出したあと、膀胱と尿道を縫い合わせるというという手術方法です。一般的には、前立腺摘出術を行う際にはリンパ管へのがん転移の有無を調べるためにリンパ節郭清を行います。

前立腺摘出術には2種類の方法があります。

一つ目の方法は、下腹部を開いて恥骨と膀胱の間から前立腺を摘出する「恥骨後式前立腺全摘除術(恥骨後式)」です。そして、もう一つの方法が肛門の上を開いて精巣と肛門の間から前立腺を摘出する「会陰式前立腺全摘除術(会陰式)」です。

冒頭でお話したとおり、前立腺とは前立腺液と呼ばれる、精子に栄養を与えるための液体を分泌するのが主な役目である臓器です。つまり前立腺とは、生殖に必要な臓器であって生存するために必要な臓器ではないと言えます。

ひどい言い方で恐縮ですが、前立腺とは肝臓などのように、生存に関わるために全部摘出する事が出来ない臓器というわけではないので、前立腺がなくなったからと言って、生きて行けない事はないので、「患者さんを生存させる」という意味では前立腺の全摘をしても差し支えはないという事になります。

だからと言って、むやみやたらに前立腺の全摘手術をするのは考えものです。

前立腺がんに限らず全てのがんに言える事ですが、がん治療によって合併症が残ってしまうと、患者さんの生活の質は悪くなってしまいます。それはがん治療が抱える大きな問題でもあります。

前立腺がんの手術の場合、尿失禁や性機能障害が残るという問題があります。

尿失禁については前立腺摘出術に慣れた医療機関であればさほど問題にならないと言います(事実、最近では前立腺全摘術の技術が向上しているためにあまりみられなくなったとの事です)が、性機能障害については患者さんにとって大きな問題です。

手術の際に精管を切ってしまうと、射精する事が出来なくなります。また、前立腺がんの状態によっては勃起に関わる神経の温存が難しくなります。

それらの問題を解決しようとしたのが、内視鏡支援ロボット「ダヴィンチ」を使ったロボット手術です。

この「ダヴィンチ」はヒトの腕のようになめらかにアームを動かす事が出来ます。

また、4本のアームに内視鏡や電気メス、鉗子など手術に必要な道具が取り付けてあります。それらを駆使する事によって、前立腺の裏側などのヒトの目で見えないところを見る事が出来るようになりますので、「ダヴィンチ」で手術する事によって手術が正確になり、手術自体もやりやすくなります。

そのため、勃起に関わる神経の温存や血管の処理についてはヒトが手術をするより「ダヴィンチ」によるロボット手術の方がはるかに勝ると言います。

この「ダヴィンチ」によるロボット手術は保険が適応されなかったのが大きなデメリットだったのですが、今年(2012年)4月より「ダヴィンチ」による前立腺がんの手術については保険の対象になりました。

(「ダヴィンチ」による、前立腺がん以外のロボット手術については保険対象外です)

ここでご紹介した手術方法以外にも、患者さんの腹部に数カ所小さな穴をあけて、その穴から腹腔鏡と呼ばれる内視鏡の一種を挿入する事によって前立腺がんの手術をする「腹腔鏡下前立腺全摘術」と呼ばれる手術方法もありますし、強力な超音波を一点に集中させるように照射する事によって得られた80~98℃という高熱によってがん細胞を焼いて凝固・壊死させるという「高密度焦点式超音波療法(HIFU)」という手術方法もあります。

このように、一言で「前立腺がんの手術」と言ってもその手術方法は多様なのです。

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