膵臓(すいぞう)がん
膵臓がん(すいぞうがん)は膵がん(すいがん)とも呼ばれ、膵臓という、胃の後ろに位置し、長さがおよそ20cm、重さがおよそ100g前後の臓器から発生したがんの事を言います。
胃がんや肝臓がんに比べて一般的な認知度は低いですが、日本では1年間におよそ2万2,000人の方がこの膵臓がんで亡くなっています。
膵臓がんは早期発見が難しい病気です。
その理由として、膵臓がんは早期には膵臓がんの症状らしい症状が出ないために膵臓がんになってもわからない事が多いのと、前述のとおり膵臓は人体の中心に位置し、消化器に囲まれているために膵臓を検査する事が難しい点があげられます。
それに加えて、膵臓がんの症状が慢性膵炎の症状と似ているために膵臓がんだという診断が遅れる事があると言います。
さらに、膵臓がんは悪性度の高いがんでもあるため、転移しやすいという特性があります。
そのため、膵臓がんが見つかった時にはがんがかなり進行していたという事も珍しくありません。
それに加えて、膵臓がんの治療成績が高いとは言い難い現実があります。
膵臓がんの患者さんの5年生存率は10~15%です。正直言って生存率は高いとは言い難いのが現状です。
がんの治療成績を患者さんの生存率ではかるとするならば、膵臓がんの治療成績は残念ながら良くないという事になります。
つまり膵臓がんとは「検査が難しい。よって早期発見が難しい。治療が難しい。それに加えて生存率も低い」と、病気としては嫌な要素が詰まった恐ろしい病気だという事になります。
膵臓がんの原因になるものとしてはっきりとわかっているのは喫煙習慣だけです。
かつてはコーヒーや飲酒も膵臓がんとの関連性が指摘された事もありましたが、現在は一般的には否定的な見方をされています。
膵臓がんの症状ですが、前述のとおり、初期には症状らしい症状は出ません。
膵臓がんの患者さんの訴えで多いのが背中の痛みやお腹に不快感がある、そして食欲不振です。体重が減少するなどの症状が出る事もあります。
嫌な話ですが、これらの症状が出るようになると、膵臓がんは初期の段階を過ぎて、ある程度進行していると見ていいでしょう。
また、膵臓とは血糖値をコントロールするホルモンの分泌に関わっているために、膵臓がんになると血液中の糖分の量を上手くコントロール出来なくなったり糖尿病を発症したりする事もあります。
元々膵臓がんは早期発見の難しい病気ですが、特に糖尿病の患者さんは元々血糖値を上手くコントロール出来ないために膵臓がんになっている事に気付きにくい面があります。
ですから、糖尿病の患者さんは膵臓がんの検査も受けた方が良いという意見もあります。
膵臓がんの治療法は手術や放射線療法、そして抗がん剤を使用しての治療などです。
現在膵臓がんの新たな治療法として温熱療法や免疫療法も試みられていますが、現時点では膵臓がんの治療法としては確立されるところまでは至っていません。
それ以外にも、膵臓がんは痛みなどの症状をともないますので、緩和治療を行う事もあります。