小児甲状腺がん

小児甲状腺がんなど子どもの甲状腺の病気について

甲状腺がん含む甲状腺の病気は男性よりも女性に多く見られる傾向があります。

そして、甲状腺がんが好発する年齢は30~50歳くらいですが、50歳以下で発生する甲状腺がんのほとんどが悪性度の低いもので、生命にかかわる事はないものもあると言います。

しかし、50歳以上の年齢で発生する甲状腺がんについては未分化甲状腺がんという、悪性度の高いがんが増えて来ますので、高齢層の甲状腺がんについては油断が出来ません。

それでは、0~19歳までの子ども(小児)の甲状腺がん含む甲状腺の病気についてはどうなのでしょうか?

小児甲状腺がんに限らず甲状腺の病気自体が小児にはまれな病気です。

アメリカにおいて小児甲状腺がん発生の割合は毎年20歳未満の1,000~2,000人に1人と言われています。そして、小児甲状腺がんの生存率はおよそ95%になります。つまり、その多くが完治するという事になりますが、年齢が上がるとともに発生率も死亡率も上がりますので、おとなの甲状腺がん同様、小児甲状腺がんについても全く注意しなくても良いというわけではありません。

小児甲状腺がんから話はそれますが、中学生・高校生の女子に多い甲状腺の病気として、単純びまん性甲状腺腫があります。

単純びまん性甲状腺腫の話に入る前に、甲状腺腫の話から入りたいと思います。ここからは少し話がややこしくなりますが、どうかご辛抱下さい。

「甲状腺腫」とは甲状腺に出来るはれを総称したものです。病名ではありません。

そして、甲状腺腫(=甲状腺のはれ)には大きく分けてびまん性甲状腺腫と結節性甲状腺腫に分けられます。

びまん性甲状腺腫とはホルモン機能に異常が起こる事によって甲状腺全体が腫れあがる状態の事で、このような状態になって起こる病気がバセドー病や橋本病です。

そして、結節性甲状腺腫とは、甲状腺に結節(=しこり)が出来た状態を差します。

この、「結節性甲状腺腫」の中に良性の腫瘍と悪性の腫瘍があり、悪性の腫瘍の事を「甲状腺がん」と呼ばれる事が多いのです。

ここで単純びまん性甲状腺腫に話を戻します。

単純びまん性甲状腺腫とは、思春期の女性に多い病気ですので、「思春期甲状腺腫」とも呼ばれます。甲状腺ホルモンが何らかの原因によって不足する事によって発生するものと考えられていますが、まだ仮説の域を出ません。

気になる単純びまん甲状腺腫の症状ですが、のど元のはれ以外に症状は出ません。甲状腺ホルモンの機能も異常が見られませんので、治療の必要もありません。

ただし、将来バセドー病や橋本病などの甲状腺の病気になる可能性は残されていますので、定期的に検査を受ける必要はあります。

小児甲状腺がんとチェルノブイリ原発事故との因果関係

筆者は「子どもが小児甲状腺がんなどの甲状腺の病気にかかる事はまれだ」と言いました。しかし、残念ながらその例外もあります。1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故当時その周辺地域に住んでいた子どもたちがその例外に当たります。

原発事故の5年後からその周辺地域では、それまでは1年間で100万人に1人の確立だった小児甲状腺がんになる子どもが1年間に1万人に1人まで増加したと言います。

前述のとおり小児甲状腺がんについては完治する確率が高いために、甲状腺がんで亡くなった子どもは少なく、2005年までに15人だと言われています。

(これはあくまでも数字の上の話で、実際に小児甲状腺がんで亡くなった子どもはもう少し多いのではないかとも言われています)

原発周辺地域における成人の甲状腺がんについてははっきりと「増加した」とは認められていないために、原発事故と甲状腺がんの因果関係は現在でもよくわかっていませんが、原発事故当時子どもだった人が成人してから甲状腺がんを発症するという事例は現在も続いていると言います。

(放射線の長期的な影響についてはまだ不明な点が多く残されています)

東日本大震災で原発事故を経験した筆者含む日本人も他人ごとではありません。

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