甲状腺がん チェルノブイリ

甲状腺がんと放射線被ばく~ヒロシマからチェルノブイリ、福島まで~

甲状腺がんとは甲状腺という、ホルモンの分泌に関わっている臓器に出来る、厳密な意味での悪性の腫瘍の事です。

(広義の意味での「悪性腫瘍」を入れると甲状腺の悪性腫瘍の中に悪性リンパ腫も含まれますが、ここでは悪性リンパ腫に関しては触れない事にします)

何故甲状腺がんになるのか、その原因についてははっきりとはわかっていません。

恐らく肺がんなど他のがんとは違って、たばこや過度の飲酒によって発症するものではないと考えられていますが、これも仮説の域を出ません。

甲状腺がんの中でも髄様がんについては遺伝によって発症する事がわかっていますが、それ以外の原因としては放射線被ばくなどが関係しているのではないかと言われています。

事実、チェルノブイリ原発事故後に放射線に被ばくした子どもたちの間で甲状腺がんが多発しました。そして、原爆投下後の広島でも被爆者の間ですでに甲状腺がんが多発していた事がわかっています。

広島平和記念資料館が発行している「図録 ヒロシマを世界に」によると、甲状腺がんに関しては1955(昭和30)年頃から発症が増えていると記載されています。

事実、「原爆の子」の像のモデルになった佐々木禎子さんも死後の解剖の結果、甲状腺にがんが出来ていた事がわかったと、「サダコ~「原爆の子の像」の物語(NHK広島「核・平和プロジェクト著」/NHK出版)」に書かれています。

前述のとおり、甲状腺がんの原因はまだはっきりとは解明されていませんが、ヒロシマやチェルノブイリの例を鑑みれば、甲状腺がんと放射線被ばくには関連性があるのは疑いようがありません。

そして現在、東日本大震災後の福島第一原発の事故後に福島の子どもに甲状腺がんが見つかったとする話題がネットなどに流れています。

結局私たちはチェルノブイリの教訓を生かせなかったのです。

個人的にはヒロシマ・ナガサキでも起こった被爆者に対する差別が、福島から避難して来た人にまで及んだ事が悲しくてなりませんでした。

私たちはヒロシマ・ナガサキ、そしてチェルノブイリの原発事故を遠い過去の事と位置付けていたのではないでしょうか? 

そして、自分たちも原発が稼働している限りチェルノブイリや福島のような事になる可能性がある、ひいては、自分たちだって放射線被ばくする事によって、白血病や甲状腺がんなどの放射線による健康被害が出る可能性があるという事がわかって、青くなってこの問題に取り組み始めたというように見えるのは筆者だけでしょうか?

(ちなみに「被爆」と「被ばく(被爆)」はよく混同されますが、「被爆」とは爆撃、特に原水爆の攻撃を受ける事で、「被ばく」とは放射線などにさらされる事です。こちらでもその定義によって表記させていただきました)

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