膵臓 治療

慢性膵炎は膵臓がんの危険因子~その特徴と治療法~

膵臓がんは慢性膵炎と似た症状が出る事があり、その診断が遅れる事があると言います。

膵臓がんは現在でも難治のがんですので、膵臓がんの診断が遅れて治療を開始するのが遅れるのは、患者さんにとっても医師にとっても良くない事です。

それでは、慢性膵炎とはどのような病気なのでしょうか?

その症状や膵臓がんとの違い、そして治療法などについてお話したいと思います。

慢性膵炎とは、膵臓に慢性の炎症が起こる事によって膵臓の正常な細胞が壊され、膵臓に繊維が多くなる病気です。

膵臓の繊維化する事によって、膵管が閉塞し、それが膵管の内圧を上げるために膵管が広がり、腹部や背中、場合によっては肩まで痛みが放散される事もあります。

慢性膵炎の腹部の激痛は油っこい食事をした時や飲酒をしたあとに起こる事が多いのが特徴です。

膵臓の正常な細胞が壊されてゆくのですから、膵臓の機能が低下するのは言うまでもありません。膵臓の機能が低下する事によって起こる症状として、食べた食物の消化吸収が悪くなるとともに、糖分の分解を促すインスリンの分泌に支障をきたして、糖尿病を発症する事もあります。

膵臓がんの場合には初期には症状らしいものは現われません。しかし、ある程度がんが進行すると症状が現われます。

「何となくお腹が重苦しい」などの腹部の不快感がある他、腹部や背中の痛みが現われ、黄疸が出るなどの症状の他に慢性膵炎と同じく糖尿病を発病する事もあります。

確かに慢性膵炎と膵臓がんの症状は似ています。

時間をかけてゆっくりと病気が進行してゆくのが慢性膵炎の特徴で、一度慢性膵炎になってしまうと元に戻りにくいのがやっかいなところです。

そして、膵臓がんの特徴とは、症状らしい症状が出ないために早期発見が難しく、がんが見つかった時には手遅れだったという事も少なくない、恐ろしいがんであるという事です。

慢性膵炎の病期は3段階に分ける事が出来ます。

第一段階は代償期と呼ばれる時期です。この段階では慢性膵炎を発症したばかりで、まだ膵臓の機能は低下していません。症状としては激しい腹痛が頻繁に起こります。

第二段階とは移行期と呼ばれる膵臓の機能が低下しつつある段階で、代償期に見られた腹痛の頻度は少し減って来ます。

「腹痛が少なくなっているのだから、慢性膵炎が治って来ているのだろう」と考えてしまうところが慢性膵炎の恐ろしいところで、実は痛みを感じる事が出来なくなるほど膵臓が弱る前の段階なのです。

最後は非代償期と呼ばれる慢性膵炎の末期の段階で、ここまで来ると、膵臓の機能はかなり低下していて、インスリンを分泌する機能が低下する事によって糖尿病になってしまったり、消化力が低下する事によって下痢・消化不良を起こす事は前述のとおりです。

慢性膵炎の治療法とは、端的に言えば「慢性膵炎を悪化させない事」です。

つまり、飲酒などその原因になっている生活習慣を改善し、異常な組織を取り除くのです。

その他、腹痛などには鎮痛剤を使用するなどの対処療法も行われます。

ここまで聞くと「慢性膵炎と膵臓がんは関係ない」と考えがちです。

実際、肝臓がんは慢性肝炎→肝硬変→肝臓がんという経緯で発症する事がありますが、膵臓がんについては慢性膵炎から膵臓がんへ移行する事はありません。

しかし、現在慢性膵炎と膵臓がんは直接関与する事はないものの、慢性膵炎が膵臓がんの危険因子になっている事は事実なのです。

慢性膵炎にかかっていない人に比べて、慢性膵炎にかかっている人がその経過中に膵臓がんを発症する割合が高いのです。

何故慢性膵炎にかかっている人が慢性膵炎にかかっていない一般の人に比べて膵臓がんを発症する確率が高くなるのか、その理由ははっきりとはわかっていません。

慢性膵炎にかかっている人は、慢性的に膵臓に炎症を起こしているために膵臓の細胞が傷付けられて異常な細胞(がん細胞)が生まれるのではないかという説や、慢性膵炎にかかっている人の生活習慣、たとえば喫煙や飲酒などの習慣ががんを発生させる要因になっているのではないかという説もありますが、現在のところどちらも仮説の域を出ません。

慢性膵炎とは治りにくい病気です。つまり、治療時間が長いという事になります。

特に移行期と呼ばれる第二段階では腹部の激痛が少なくなっている事から「慢性膵炎が治った」と勘違いして勝手に治療をやめてしまう事のないようにしましょう。

そして、慢性膵炎を治療する事とは恐ろしい膵臓がんの危険因子を少なくする事でもあるのだという事を忘れてはいけません。

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