肝臓がん 末期

肝臓がんの症状~初期から末期まで~

肝臓がんとは「中高年の男性がアルコールの飲み過ぎで起こる病気」のイメージがあります。

確かに、肝臓がんにかかる人を性別で見ると、女性よりも男性の方が多く、肝臓がんにかかった人・肝臓がんで亡くなった人を見ると、男性は女性のおよそ3倍になると言います。

そして、肝臓がんにかかる人を年齢で見ると、男性は45歳くらいから増えて行き、70代で横ばいになります。女性は55歳くらいから増えて行きます。

つまり、「肝臓がんは中高年の男性がかかる」というイメージは、肝臓がんにかかるのは男性が多い事と、男性は45歳くらいから肝臓がんにかかる人が増加し始める事から感じるイメージだと言えるでしょう。

しかし、もう一方の「アルコールの飲み過ぎで起こる」というのは事実とは少し違います。

確かに肝臓がんの原因としてアルコールの過剰摂取があるのも本当ですが、肝臓がんの多くは肝炎ウイルスの感染によるものです。その中でもB型あるいはC型肝炎ウイルスの感染が多く見られます。

(蛇足ながら、肝臓がんにかかる人と肝臓がんで亡くなった人を生まれた年で見てみると、男女ともに1933年前後に生まれた人が高いのですが、それはC型肝炎ウイルスの抗体の陽性者の割合が高いからだと言われています)

肝炎ウイルスに感染する事によって肝炎が慢性化して肝硬変になり、そこから肝臓がんへ移行するケースが多いのです。

肝臓がんの症状についてですが、肝臓がん特有の症状というのは意外に少ないです。それは肝臓がんが肝硬変から肝臓がんへと移行するケースが多いためと考えられます。

そして、健康診断などで初期の肝臓がんが見つかるケースも見られる事もあります。

それは、肝臓とは「沈黙の臓器」と呼ばれるほどよほど悪くならないと症状が現われないためです。

実際、肝臓がんの初期症状は全く症状らしい症状が現われません。

肝臓がんが進行すると、腹部にしこりを感じる・腹部に圧迫感がある・お腹が痛い・お腹が張るなどの症状が現われます。そして、がんが破裂すると、お腹に激痛を感じ、血圧が低下します。

実際、「それまで特におかしいと思われる症状はなかったのに、ある日お腹が痛くなったので病院へ行ったら、『末期の肝臓がんだ』と診断された」という話もありますが、それは肝臓はよほど悪くならないと症状が現われないためで、逆に言えば症状が現われた時には肝臓はかなり悪くなっている、ひどい時にはこのお話のように末期の肝臓がんだったという事もあり得るというわけです。

肝臓がん特有の症状以外に肝硬変を伴う事によって起こる症状として、微熱・身体がだるい・下痢や便秘などの便通異常・黄疸が現われる・むくみが起こる・皮下出血を起こすなどの症状があります。肝硬変が進むと、肝脳症と呼ばれる意識障害を起こす事もあります。

肝臓がんの治療とは、ステージ(病期とも言われます)と患者さんの肝機能(どれくらい肝臓の機能が残されているのか)によって決まります。

肝臓がんの治療を肝臓がんのステージだけで決められないのは、肝臓とは解毒などのヒトの生存に関わる機能をつかさどる臓器であるためです。

たとえば肝切除(手術)で肝臓に出来たがんを切除する事一つとっても、手術で切られたあとに残された肝臓の細胞だけで肝臓の機能が維持出来なければ患者さんの生命にかかわります。

肝臓がんの治療法は先ほど触れた外科(手術)療法の他に局所療法・肝動脈塞栓術の3種類の治療法が主な治療法です。

しかし、ここで問題になるのが、肝臓がんの治療とは、あくまでも肝臓がんを治す治療であって、肝硬変などの慢性的な肝臓疾患を治す事ではないという事です。

「肝臓がんは再発しやすい」と言われていますが、その理由として肝臓がんの患者さんは肝硬変などの慢性疾患を抱えている方が多いので、肝臓がんのリスクを抱えている肝臓には新たながんが発生しやすいためではないかと考えられています。

そして、肝臓がんが末期になると、もはや積極的な治療を行わずに緩和療法を行います。

緩和療法とは、がんによる痛みがあれば痛みをやわらげる、むくみがひどければむくみを取るための治療をするなどのいわば対処療法です。

もし自分や家族が『末期の肝臓がんだ』と言われたら?

ここまで肝臓がんについて長々とお話して来ましたので、「肝臓がんとはアルコールの飲み過ぎでなる病気というイメージがありますが、現実には肝炎ウイルスの感染によるものが多い」という事と、「肝臓とはよほど悪くならなければ症状が現われない。だから症状が現われた時には肝臓がかなり悪くなっている。ひどい時には肝臓がんの末期に入っている場合もある」という事、そして、肝臓がんの治療法についてご理解していただけるかと思われます。

しかし、ご家族にとっては「自分の家族がそれまで特に症状はなかったのに、ある日突然医師から『末期の肝臓がん』だと診断され、治療らしい治療は行われず、渡される薬と言えば、痛み止めのモルヒネだけ。これは納得出来ない。もっとやりようがあるのではないか」といういらだちが出て来るのも当然の事ではないかと思われますし、実際にそのような声をよく耳にします。

そういう時には担当の医師ときちんと末期の肝臓がんの治療について納得するまでお話する事をおすすめします。場合によってはセカンドオピニオンを受診する事も視野に入れた方がいいでしょう。

ご家族が末期の肝臓がんで、余命も申告されている状態であれば、それを本人に話すか否か、最期を自宅で迎えるか、それとも病院で治療を受けるかなど、難しい決断を迫られるでしょう。

しかし、そのような状態でも、末期の肝臓がんになったご本人の意思を尊重して欲しいと筆者は考えます。

また、何度もお話しているとおり、肝臓がんはお酒やたばこよりも肝炎ウイルスの感染が原因である事が多いのですが、実際に自分が「酒もたばこもやらないのに、ある日医師から『あなたは末期の肝臓がんです』と言われた。なんで自分が肝臓がんにならなきゃならないんだ」と混乱するのも当然ではないかと考えられます。

自分が最期を迎える時が来るかもしれないという、重い問題に直面するわけですから、(具体的には最期を自宅で迎えるかあるいは病院で迎えるかなど)「これが良い」という答えは人それぞれであり、また、「それには答えはない」と言った方が適切でしょう。

そのような場合は入院している時や体調の悪い時には外出などは出来ませんので、(たとえばご家族で思い出の場所に行くなど)出来る時に出来る事をするのも良いでしょう。

ただ、旅行など長期間の外出をしたい場合には、担当の医師と相談の上で決める事をおすすめします。旅行中に急変があるとご家族など旅行の同行者だけでは対処出来ないケースも出て来る可能性がありますので。

どのような最期を迎えるにしても、やけにならず、また、後悔をする事のないようにする事が大切なのではないでしょうか?

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